束の間の夢と永遠の夢
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でも、ノエルの手を握り締めた時のあの冷たさは本物だった。
ノエルの飴色の瞳から零れ落ちたあの涙の熱さは、決して偽りではなかった。
俺は真っ直ぐに見つめてくるワインレッドの瞳に、ついに観念してノエルのことを話そうとした。
その時だった。
「あはは。ティーダってば、そんなに慌てなくてもいいじゃん。大丈夫だって。ティーダは浮気なんてしないって、信じてるからさ」
そう言って、額を小突いたノクス。
その行為に俺は愕然とした。
そして、期待に胸を膨らませていた自分が少し虚しくなった。
痛みを──全く感じなかった。
この時間がただの夢に過ぎないのだと、思い知らされた。
夢の中であるのに、現実に引き戻されたような感じがした。
「…どうしたの、ティーダ?」
俺の様子に不信感を抱いたノクスは、不安げな眼差しを向けてくる。
潤んだ瞳を見て、俺まで無性に泣きたくなってしまった。
久し振りに見たノクスは、相変わらず可愛らしくて。
久しぶりに聞いた声は、とても優しくて。
俺は何も考えたくなくて、ノクスの体を思い切り抱き締めた。
「……よしよし。何か嫌なことでもあったんだね?」
「嫌なこと…じゃないんだけどな。嬉しいこともあったし」
ノエルに会えたこと。
ワッカやユウナに会えたこと。
それは、違えようのない事実だ。
「…夢なら早く覚めればいいって、そう思ってたんだ。でも今は夢が覚めなければいいのにって思ってる」
「そーかそーか。私といられることがそんなに嬉しいか」
「誰もそんなことは言ってないッス」
「そうかなぁ?私にはそう言ってるように聞こえるけどね」
泣き虫だとばかり思っていたノクスが、俺を元気づけようとしてくれているのが分かる。
妙なハイテンションが明らかに、それを物語っている。
「それでもさ、やっぱり夢はいつか覚めちゃうんだよ──」