束の間の夢と永遠の夢
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濃紺の長い髪。
深みを持ったワインレッドの瞳。
探し続けていた人──
「…ノクス……!?」
俺は思わず叫んでしまっていた。
まさか目の前にノクスがいる、などとは夢にも思っていなかったからだ。
しかも驚いたことに、俺はノクスにばっちり膝枕をしてもらっていた。
今が一体どういう状況なのか、全く理解出来ない。
思考能力が、今の現状に追いついていかない。
いきなり俺に叫ばれたノクスは、眉間に皺を寄せる。
普通の反応と言えば、そうかも知れない。
「なぁに、いきなり大きな声出して。私がノクスじゃなきゃ、一体誰だっていうのよ」
頬をぷくっと膨らませながら、ノクスは俺を見下ろしてくる。
そして何故だかその瞳にははっきりとした怒気の色が含まれていた。
「ねぇ、ノエルって一体誰よ?」
ノクスの口から紡がれた名前に、俺は思わず起き上がった。
もう何がなんだか分からない。
俺は確かにスピラにいて、ビサイドにいて。
そこにはノエルがいて、そこにはノクスがいなくて。
で、今目が覚めたら目の前にはノクスがいて。
ということは、ここはザナルカンドで。
つまり、俺は帰ってきたってことッスか!?
「ねー、聞いてるの!?」
声を大きくしながら、ノクスが俺に答えを求めてくる。
俺は正直なところ、どう答えていいのか分からなかった。
あれは、あの世界での体験は夢だったのではないかと思えてくる。
ノエルなんて存在は、ノクスが側にいないことを寂しく思うあまりに、俺が勝手に作り出した幻想だったんじゃないのかと。