眠れる獅子と星の雫
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「なんでもないよ!食べるの?食べないの?どっち?」
私が選択を迫れば、スコールは考え込むような仕草を見せる。
眉間に寄せた皺も、怒っているわけではないと分かれば、微笑ましささえ感じる。
部屋に来た時には本当にぐったりした表情をしていたけれど、少しだけ元気になっているような気もする。
もしかしたら私に合わせてくれて多少の無理をしているのかも知れないけれど。
「…食べる」
「…了解!じゃあ部屋に取りに戻ってくるから、ちょっと待ってて」
くるり、と踵を返して部屋にも戻ろうとすれば、スコールに呼び止められる。
やっぱり要らない、とか言いだすんじゃないだろうな。
恐る恐る振り返れば、我が眼を疑う表情をしたスコールがそこにいた。
優しい眼差し。
そして、少し緩んで弧を描く唇。
それは、私が見たかったもので。
思わず心臓が跳ねるのを感じた。
この気持ちを恋、と名付けるというのなら、少しは納得出来るかも知れない。
「…ありがとう、シンティア」
「いいってこと!」
ぐいっとVサインを突き出して、私は笑った。
内心ではもっと嬉しくてたまらなかったけど、露骨に驚いて嬉しがってみせたりしたら、スコールは嫌がるに決まっているから。
だから、この感情は先程まで隠していた下心と同じようにそっと胸の内に隠しておくんだ。
人っていうのは
本当に貪欲なもので
一つを手に入れれば
もっともっと欲しくなる
今度は君の
満面の笑みが見たい
私にだけ見せてくれる
最高の笑顔が見たいんだ──
《終》