眠れる獅子と星の雫
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それは何の変哲もないキーチェーンに、大小二つのリングがついたものだった。
何の値打ちもないものだけど、私にとっては何よりも大切なものだったから。
物心ついた時から私はその首飾りをとても大切にしていた。
いつだって肌身離さず持ち歩いていた筈なのに、どうしてそれを今スコールが持っているのだろう。
それが疑問で仕方がなかった。
「ありがとう。でも、よく分かったね。これが私のだって」
私は首飾りを付け直しながら、スコールに尋ねた。
スコールは私のそんな様子を見ながら答える。
「別に。知ってた訳じゃない、セルフィに押し付けられただけだ。それをお前に渡すようにって」
予想通りの返答に私は思わず苦笑いを浮かべる。
もう少し愛想良く答えてくれたっていいのに。
「で、セルフィはこれどこにあったって言ってたの?」
「更衣室の化粧台の上に置いてあったって言ってた気がするな」
スコールの言葉に私は記憶の糸を手繰り寄せてみる。
確か着替える時にドレスに引っ掛かっちゃいけないと思って、化粧台の上に確かに置いたんだ。
後でちゃんと取らなくちゃってその時は思ってたんだけど、着替えるのに戸惑ってる内に時間が迫ってきて、追い立てられるようにセルフィに手を引かれてパーティ会場に行ってしまったからすっかり忘れてしまっていたんだ。
こんなにも大切な物なのにどうして手放したりしたんだろう。
ポケットにでも入れておけばよかったのに。
これってもしかして、指輪の首飾りから私の心が離れつつあるって事なのかな。
私に首飾りよりも大切な物ができたってことなのかな。
「でも、とにかくありが──」
ありがとう。
そう言おうと思ったその時、巨大な音が私の声を遮った。