眠れる獅子と星の雫
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それでも、今はいいの。
悲しくないと言ったら、それは嘘になるけれど。
彼の心が少しでも安らぐなら。
今だけは。
紡ぎ続けていた歌は、最後のワンフレーズで終わりを告げた。
どうしてだろう。
すごく呆気なく終わってしまったような気がする。
でも、満足していた。
大きなステージで歌った訳でもない。
みんなが私の歌に耳を傾けてくれた訳でもない。
だけどゼルが真剣に聞いてくれた。
その事実だけで、私は十分に満たされている。
「お粗末様でした。どう?少しは元気出た?」
私はなるべく平静を装いながら、努めて明るい声で言った。
どんな対応が一番正しいのかなんて分からない。
だから私は、いつも通りの私らしく振る舞うのがいいと思ったんだ。
それが今の私に出来る、精一杯の事だと思うから。
「ありがとな、シンティア。いつもと同じとはいかないけど、元気出たぜ」
「そっか…それなら良かった」
私はそう言ってから、視線を空へ移す。
今にも星が零れ落ちてきそうな空へ。
どうか、お願い。
ゼルが、早くいつもの彼に戻れますように。
いつか
いつかきっと、君に伝えよう
今日の日を決して忘れずに
私は君が大好きだ、と──
《終》
