眠れる獅子と星の雫
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私は瞳を閉じて、空気をいっぱいに吸う。
そしてゆっくりと楽器を奏でるように唄を紡ぎあげた。
周りには沢山人が居て。
私がいきなり歌い出した事で、人々の視線が一気に私に集中する。
普段なら注目なんてされたら、すぐに走って逃げ出したくなる。
というか迷わず逃げる。
でも、今は少しもそれが気にならない。
それはきっと恥ずかしさ以上に、ゼルにこの唄を届けたいから。
私の思いを知って欲しいから。
私の奏でる唄は、失恋ソング。
でもその中には見え隠れする希望が存在する。
それはゼルの希望であり。
同時に私の希望でもあり。
沈んでしまった心を、再浮上させる為のもの。
自分の唄が上手いと思った事なんて、たったの一度もない。
ただ、一つだけ言える事。
それは私の唄には、誰かの心でさえ揺さぶる程の“想い”が籠もっているんだって事。
ゼルは目を閉じたままで、私の歌に耳を傾けていた。
ゼルが何を考えているのかは、私にも分からない。
もしかしたら、あの図書委員の女の子の事を考えているのかも知れない。