眠れる獅子と星の雫
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慣れないヒールを履いているから足が痛い。
腰も細く絞られているものをセルフィが選んだから少し息苦しい。
何だか何もかもが苛立ちの原因のように思えてくる。
誰も、何も悪くないのに。
悪いのは力を使い過ぎた私。
スコールとダンスを踊った、名も知らぬ女の子に嫉妬している私。
全部私なんだ。
キスティスはカドワキ先生に診てもらえって言っていたけれど、どうしてもそんな気分にはなれなかった。
きっと安静にしておくように言われるだけだと思うから。
私はパーティ会場を抜け出すつもりでいたけれど、結局バルコニーへ出るだけにすることにした。
今日を逃したら、もうずっとこんなに楽しい催しには参加できないような気がして。
ガルバディアの様子はおかしいし、何よりも私の勘がそう言っていた。
魔女が動きだそうとしている、と。
確証はなかったけれど、感じていた。
大きな時の歪みを。
「あーあ。学生をやっていられるのも、今の内だけかな」
今にも星が零れ落ちてきそうな空を見上げて私は一人ごちる。
溜め息を漏らして、手摺に凭れ掛かる。
何だか虚しくなってきた。
自分が何故此処にいるのか、分からなくなる。
シドさんは私に力を貸して欲しいと言った。
魔女を倒す為には私が必要だと。
その為にSeeDも育てていると言っていた。
でも、何故?
何故魔女は倒されなければならないの?
今の魔女が誰なのかは知らない。
でも、その人は何もしていないじゃない。
ただ魔女だというだけで、倒されなければならないなんて、おかしい。
私達はあまりにも無知だ。
SeeDに、魔女に、何が隠されているのか。
「こんな所で何してるんだ?」
突然後ろから声が聞こえて、私は振り返る。
その声の主が誰なのか、私はすぐに分かったから。
逢いたかったような、逢いたくなかったような複雑な気分。
でももう此処には逃げ場はないから。
「ちょっと気分悪かったから。外の空気吸ったら元気になるかなぁって。スコールこそどうしたの?」
私が尋ね返すと、スコールは右手を私の前に差し出した。
握り締めた手の中には何かがあるらしかった。
「?」
訝しく思いながら私は両手を差し出した。
スコールは私の手の上に『それ』を乗せる。
それは私がいつも大切にしている首飾りだった。