眠れる獅子と星の雫
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私は何も言わず、ただゼルの頭を撫で続けた。
何か気の利いた事を言えたらいいのに、私は何も思いつかなかった。
自分で自分の事が本当に嫌になる。
暫くそうしていると、ゼルは漸く落ち着いてきたのか顔だけをこちらへ向けた。
まだ青い瞳は涙で潤んだままだった。
「本当、ごめんな。こんな時だけ、お前を呼び出したりして」
「…気にしないでよ。本当に暇だったから出て来ただけだし」
「ありがとう…そう言ってもらえると助かるぜ」
ゼルは無理矢理に笑顔を作る。
全然ちゃんて笑えてなかったけど、私も笑顔を返した。
「実はさ、俺、振られたんだ。あの子に」
ゼルはぽつりと呟いた。
小さな小さな声。
それでも側に居た私には十分聞き取れるものだった。
ゼルのいう“あの子”は図書委員の女の子。
名前は──忘れた。
だって、好きな人の好きな人の話なんて聞きたくないもの。
それが自分じゃないのなら尚更。
ゼルがその子に振られた。
その事実は、私の心を大きく揺さぶった。
純粋にゼルを慰めてあげたい気持ちの中に、私の汚い感情が混じってる。
ゼルが振られて良かった、って──