束の間の夢と永遠の夢
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「じゃあ…シーモアのところへ、行って来る」
「ああ」
「…でも、シンは…倒したい。ジェクトを、助けたい」
「両方を叶えることは難しいぞ、今のままでは」
この先に何が起こりうるのかを理解している私とアーロンの間には重い沈黙が落ちる。
私の選んだ道に、希望の光はほとんど射していない。
アーロンよりも、私がそれを一番理解している。
それでもこの気持ちに嘘はつきたくない。
後悔をするのはもう沢山だ。
十年前と同じことを繰り返すつもりは、ない。
「考えるよ、私、両方手に入れたいから」
「…まぁ、健闘を祈るさ」
「ありがと」
アーロンはくるりと踵を返した。
私も踵を返す。
あの人の待つ場所へ、行くために。
私の選択は間違っていないと証明するために。
***
「…ようやく、覚悟を決めましたか」
低く艶のある声が響く。
私は真っ直ぐにその声の主を見つめる。
愛しい人の姿を。
「だって、あなたが大切だから」
「嬉しいことを言ってくれますね。さあ、こちらへ」
手を伸ばされて、私はそれに導かれるように歩を進めた。
足取りは、ひどく覚束ない。
それはきっとこの場所が異界とも現ともつかぬ場所だから。
“この人”の存在だけが私をこの場所に繫ぎとめる。
手の届く位置まで私が辿り着くと、シーモアは私の手をぐいっと引いて、私はその逞しい腕の中にすっぽりと納まってしまった。
久しぶりの感覚に私はうっとりと目を閉じる。
長い腕が私を閉じ込めるように添えられる。
「何を戸惑っていたのです。私の心はあなたのものだと何度も伝えたのに」
シーモアの言葉に私はすぐに答えられなかった。
理由は本当に沢山あったから。
あなたへの思いは本物だったけれど。
捨てられないものは、数え切れないほどあるんだ。
そして、一番切り捨てられなかったのが。
「仲間は、そう簡単に捨てられないよ」
「…あなたらしい答えですね。でも私の元へ来たということは──」
「別れてきたの。私はあなたの側にいたいから」