束の間の夢と永遠の夢
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ずっとずっと言えなかったこと。
今なら、きっと言える。
「今まではノエルの中のノクスの姿ばかり探してた。でもこれからは……ノエルのことが、ありのままのノエルを、知りたいんだ」
はっきりと宣言するように、でもノエルだけに届くように小さく耳元で囁いた。
後ろから抱き締めた為にノエルの表情は分からなかったが、真っ赤に染まった耳で何となく予想はできた。
「いいッスか?」
確かめるように尋ねると、ノエルは細く頼りない首を小さく縦に降った。
「い、いいッス……だから、は、放して?」
おずおずと小さな声が聞こえて、ティーダは漸く自分がしている大胆な行動を自覚した。
「あっ!ごめん!」
慌ててノエルを解放すると、ノエルは恥ずかしそうに小さな両の手で顔を覆ってしまった。
ノエルがあまりに恥ずかしがる為にティーダまで照れてしまった。
きっと、人と触れ合う事にノエルは慣れていなかったんだろう。
反応があまりに新鮮で。
知らなかった彼女の一面を垣間見た気がした。
「ノエル」
ティーダが名を呼ぶと、ノエルは恐る恐る振り返り、顔を覆った手の間から飴色の瞳を覗かせる。
どうやらすっかり警戒心を植え付けてしまったようだった。
「大丈夫だって。ノエルが嫌ならもう何もしないからさ。」
ティーダが言いながら手を伸ばすと、ノエルは顔から手を離してそっとティーダの手を取った。
ティーダの手でも包みこめる程に小さな白い手を、ティーダはぎゅっと握り締める。
冷たいノエルの手に少しでも温もりが伝わるように。
ティーダがノエルの手を引いて宿へ向かおうとすると、ノエルはティーダの耳元に囁き返した。
「嫌じゃ、ないよ?……恥ずかしいだけ」
背伸びをして伝えてきたノエルにティーダが微笑むと、ノエルもあどけない笑みを返した。
これから始まる新しい関係に、ティーダは口許を弛めずにはいられなかった。
《終》