束の間の夢と永遠の夢
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ティーダはいつだってあの父親が嫌いだった。
ノクスもジェクトの事が大好きだったから。
そしてスピラにいる今も、ノエルの笑顔を引き出したのはジェクトだった。
走って走って、追い付いたと思っても、気付けばジェクトは更に先の場所にいる。
追い越したいと思っているのに、いつまでたっても追い付くことすらできない。
「俺が親父ではないように、俺が親父にはなれないように。ノエルはノエルで、ノクスはノクスなんだよな」
ノエルに告げながら、自分自身にも刻みつけるように、一言一言の重みを噛み締めながらティーダは言った。
ノエルは押し黙ったままティーダの告白を聞いている。
「そんな簡単なことに気付けなくてごめん。今まで傷つけて、ごめんな」
震えた声がノエルにばれないように少し大きな声で言った。
人の気持ちに敏感で、聡いノエルにはお見通しだったかもしれないけれど。
「……私こそ、ごめん」
唐突にノエルがそう言った。
ティーダは謝られる理由が見つからなかった。
ティーダの表情からその意を読み取ったのか、ノエルはすぐに言葉を続けた。
「キミが不安なこと、分かってたのに突き放すようなことばかり言って。誰かに似てるなんて言われたの初めてだったから、自分がいなくなっちゃう気がして意地っ張りになってたの。だから……ごめんなさい」
一気に捲し立てるように、だけど冷静さは欠かずにノエルは言いきった。
あまりに真剣な様子のノエルに、ティーダは思わず吹き出してしまった。
ノエルが怒るのは目に見えて分かっていたのに。
「あはははは!」
「ど、どうして笑うの!?私本気なのに!」
「だって変だろ?こんな所で二人して本気で謝りあってるなんて」
ティーダの言葉にすっかり気分を悪くしたのか、ノエルはぐいっと腕を伸ばして、ティーダの腕の中から脱出した。
ノエルはそのまま踵を返してその場を去ろうとするが、また後ろからティーダの逞しい腕に抱きすくめられた。
ティーダも今度は逃がすつもりはなかった。
一番言いたいことを、まだ言えていなかったから。