束の間の夢と永遠の夢
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
暫くは抵抗をつづけていたノエルだったが、ティーダに解放の意思がないと悟ると諦めたように大人しくなった。
女の子独特の柔らかさと、優しい香りにティーダは懐かしさを覚えた。
泣き虫のノクスが泣いていた時、いつも今のように抱き締めて慰めていたことをふと思い出した。
なかなか泣きやまなくて苦労したな、とかそんなこと。
そして、同時に分かったことがある。
ノクスはこんなにも細く、頼りなくなかった──
元々ノクスも痩せている方ではあったがここまででは無かった。
折れてしまいそうな細い首や腕、腰。
こんなにも小さな身体で、ノエルは何もかもを受け止めてきたのだと思うと、いくら似ているからといって全くの他人と同一視していた自分を情けなく感じた。
ノエルはただ一人のノエルなんだ。
「同じ」や「代わり」なわけがない。
どうしてそんな単純なことに気付けなかったんだろう。
どうして理解するまでにこんなにも時間がかかってしまったんだろう。
「何か辛いことでもあった?」
ティーダの腕の中からティーダの顔を覗き込むように見上げてノエルは言った。
戸惑っているはずなのに、こんな時にも気遣いを忘れない。
こんなにもノクスとノエルはかけ離れている。
「ちょっとノエルに話したいことがあってさ」
「私に話したいこと?」
ノエルの肩口に顔を埋めて、ティーダは一度だけ頷いた。
「話しておかないとまた疑いそうだから。今、聞いて欲しいんだ」
「うん、分かった」
必死に絞り出した声に、ノエルは優しい声で答えた。
ティーダよりも二歳も年下であるのに、まるで姉のように温かく。
「ちゃんと聞くよ。大切なことなんだよね?」
ティーダはまた一つ頷いて顔を上げた。
ノエルを抱き締める腕はそのままで。
「ノエルは俺が親父と重ねて見られるのが嫌だってことは知ってるよな?」
「知ってる。いつも言ってるから。ジェクトの話が出るといつも不機嫌そうな顔でそっぽ向いてるよね」
「……俺、そんな事してるッスか?」
「してる。気付いてなかったんだ」
ノエルはまたクスクスと笑った。
きっとその様子を思い出しているのだろう。