束の間の夢と永遠の夢
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月明りに照らされたノエルの髪が白く輝く。
夜風が二人の髪を靡かせながら通り過ぎていく。
「反対……ッスね」
唐突なノエルの言葉にどう返せばいいのか分からずにティーダは繰り返すように言った。
緊張しているせいか、声が少しうわずっていた。
それをしっかり聞き止めたノエルは口許に手を当てて、クスクスと笑った。
「声、裏返ってるよ?」
いつもと変わらない調子の声。
柔らかな表情。
だけど。
海を見つめていた悲しみに満ちた瞳を見た後では、ノエルの挙動の全てを信じることができそうになかった。
どんな表情や仕草を見ても、誤魔化されているような、そんな気がして。
何も言えないでいるティーダにノエルは自分の気持ちを隠したりせずに正直に告げた。
偽りは相手を傷つけるだけだと、彼女は誰よりもよく理解していた。
「私に何か用事?呼びに来てくれただけなら……一人にしてくれないかな。ちゃんと宿には帰るから」
苦笑いのままの言葉。
話せないたくさんの言葉を、彼女はいくつも胸の奥に押し隠しているんだろう。
決して、誰にも打ち明けずに。
内側に必死に抑え込んで。
──そうだ、ノエルはこんな子だった。
そう、自覚した瞬間、ティーダはノエルの細い身体をきつく抱き締めていた。
訳が分からないノエルは驚いて身じろぎする。
だがティーダはノエルのその抵抗さえ押さえ込んで背中に回した腕の力を強めた。
「ティーダ?どうしたの?……苦しいよ」
ノエルは小波の音にかき消されてしまいそうな弱々しい声をあげた。
ティーダはその声にも耳を貸さず、無言のままひたすらノエルを抱き締め続けた。