束の間の夢と永遠の夢
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その後、ユウナとアーロンを中心にルカを発った後の進路について、宿の一室で話し合ったが、ティーダの頭の中にその話の内容が残ることはなかった。
別のことばかりを考えていたティーダにとっては、皆の真剣な話し合いも右から左に通り過ぎるばかりだった。
話し合いの最中でさえ、気がつけばノエルの仕草や言動に視線がいった。
だけど、真剣な表情をすればするほどに、ノエルとノクスは似ていないように感じられた。
それは多分、彼女達を取り巻く環境が、世界が全く異なるからだろう。
争いや不安のない場所で生きているノクスと。
常に死と隣りあわせの厳しい場所で生きているノエルと。
同じである訳はないんだ。
「ねぇ、大丈夫?」
俯いていたティーダは声をかけられて顔を上げる。
声の主はユウナだった。
辺りが静かなことに気付いて見回してみると、部屋に残っているのはキマリと、今ティーダの横に立つユウナだけだった。
「あれ?話し合いは?」
「少し前に終わったよ?大丈夫?ずっと俯いていたから……」
ユウナの心配そうな顔にティーダは話を真面目に聞いていなかったことを反省した。
そんな表情をさせるつもりは毛頭無かったからだ。
確かに今のティーダには考えなければならないことが累積していた。
これからの旅路のこと。
このスピラを脅かす存在であるシンが、父親のジェクトであるということ。
今は帰れないザナルカンドのこと。
そこで待っていてくれているはずの大切な幼馴染みのこと。
そして。
今側にいて、支えてやりたいと願う、あの銀糸の髪を持つ少女のこと。
どれを一番優先させて考えればいいのかなど、ティーダには分からなかった。
ただそれでも、今ここにいてできることだけはしなければならない、とは思った。
自分の胸に宿る気持ちを。
打ち明けたい、と思った。
「ユウナ、ノエルが何処に行ったか知ってるッスか?」
「え?……えーと、外の空気を吸いに行くって言ってたけど──」
「ありがとう!俺もちょっと出かけてくる!すぐに戻るから!」
ユウナの言葉を遮って、ティーダは部屋を飛び出した。
ノエルが何処にいるのかなんて分からない。
それでも漠然とすぐに見つけられる気がした。