愛を知らないままで
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『好き』には色んな種類がある。
友達の『好き』
両親の『好き』
兄弟の『好き』
どれとも違う恋人の『好き』──
いつまでも子供扱いしないで?
《子供の好きじゃなくて》
椅子に腰掛けたまま机に体を預けて眠る愛しい人。
その人は僕たちの姉さんだ。
血、なんて繋がっていないけど。
でも僕たちはそれ以上の絆で結ばれているんだ。
母さんの細胞で──
「イフ…?」
姉さんが起きている時にはなかなか呼べない姉さんの名前。
今は眠っているから呼べるけれど。
恥ずかしいから、とかそんな理由で呼べないわけじゃない。
ただ姉さんと呼んだ方がしっくりくる。
それに僕が姉さんをイフ、と名前で呼ぶと、ヤズーとロッズもきっとイフと呼ぶだろうから。
それが堪らなく嫌なんだ。
姉さんの名前を呼ぶのは僕だけでいい。
「イフ」
僕はまた姉さんの名前を呼ぶ。
何度呼んだって呼び足りない。
それほどに僕と姉さん、イフと邂逅してからの時間は短い。
そしていつ別れが訪れるのかも分からない。
それが一年以上先なのか、一か月後なのか、はたまた明日なのか。
そんなことは僕たちには分からない。
そしてそれは姉さんも、神羅のあのいけ好かない社長も兄さんも同じ。
誰も知らないんだ。
それを知るのはきっと母さんだけ。
全ては母さんの意思のまま。
僕はイフと離れたくない。
母さんの願いは叶えたい。
でも叶うなら…ずっとイフの側にいたい──