本当の君を探して
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私の言葉を聞いてから、クラウドはゆっくりと振り返る。
その瞳は決意に満ちていて、夜の闇の中だというのに、星の輝きのように静かに、けれど確実に自分自身の力で力強く煌めいていた。
「俺、絶対に強くなって帰ってくるよ。イフよりもずっとずっと強くなって、悪いやつからイフを守れるように」
「じゃあ私がクラウドを守ってあげる」
「イフが俺を守ってたら意味ないだろ?!」
「いいの。クラウドが私を守って、私がクラウドを守るの。そうしたら私達は絶対に一緒にいられるから」
「……じゃあ、イフがそう言うなら」
「ありがとう」
私は笑った。
ちゃんと笑えたかどうかは分からないけれど。
とにかく笑いたかったんだ。
そうして自分を奮い立たせていないと、ほんの短い別れなのに、泣いてしまいそうな気がしたから。
「イフ」
クラウドはもう一度私の名前を呼ぶ。
何度も何度も呼ばれた私の名前。
しばらくは彼の声で聴くことでできなくなる名前。
真剣な面持ちのクラウドに私も思わず表情が固くなる。
「待ってて。きっと迎えにくるから。ソルジャーになって、胸を張ってイフに会いにくるから」
「……うん」
クラウドはそっと私に近付いて肩に触れる。
大きくなった手が私に触れて、私を捉えて離さない。
逃げようと思えば逃げられたのかもしれないけれど、そうしたくはなかった。
だって私はクラウドのことが好きだから。
ずっとずっと、好きだから。
クラウドの顔が徐々に近づいてきて私はぎゅっと目を閉じる。
そうすることが当然のことであるかのように。
額に、柔らかい唇の感触。
だけどそれもすぐに離れてしまった。
ほんの一瞬だけの、口付け。
子供みたいな、小さな悪戯みたいな。
「……今は、これだけ。帰ってきたら、俺が強くなって自信が付いたら、ちゃんとイフを奪っていくから。覚悟してて」
そういうクラウドの瞳はもう充分と大人びて見えて、私はただ首を縦に振ることしかできなかった。
まさかクラウドが「こんな事」するなんて思いもしなかったから。
だけど、忘れない。
確かな約束があるのなら、私たちはまたすぐに逢える。
そうしたらその時は、この優しいキスの続きを。
《終》