本当の君を探して
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私は自分の衝動のままに背を向けたクラウドを後ろから抱き締めた。
出会ったばかりの頃は私とあまり変わらなかった体付き。
でも今、腕を回してみて分かる。
クラウド、いっぱいいっぱい頑張ったんだよね。
強くなる為に、大切な人を守る為に。
私のいきなりの行動に驚いたクラウドは一瞬たじろいだ。
それでも私の体が震えていると分かると体の力を抜いたまま私のやりたいようにさせていてくれた。
「イフ……大丈夫?」
私はクラウドの肩口に顔を埋めたままで小さく頷くことを繰り返した。
それ以上に言葉を紡ぐことが今すぐにはできそうになかった。
クラウドはそれを悟ってか、後ろ手に私の頭を撫でてくれた。
とても懐かしい感覚。
私達が初めて出逢った時も、クラウドは今みたいに私の頭を撫でてくれたよね。
あの時は精神的に不安定な時だったから、その温かな優しさがすごく嬉しかった。
「話、あるなら聞くから。イフが落ち着くまで待ってるから」
「ありがとう……」
私はとりあえずお礼の気持ちだけを表して、呼吸を整えた。
また会えると分かっていても、やっぱり別れは辛いから。
「ね、私が行かないでここにいてって言っても、クラウドは行っちゃうんだよね?」
「うん」
「もしも今ここで別れたら一生会わないって言っても?」
「……うん」
「誰が何を言ってもその決意は揺るがない?」
「うん、揺るがない」
もはや意味など持たない問答を繰り返す。
ただ私は探してるだけなんだ。
クラウドを引き止めることのできる理由を。
でも、もう分かってしまった。
誰もクラウドを止めることはできない。
「じゃあ、私は応援するよ。ずっとクラウドの力になる」
「……イフ?」
「きっとすぐに逢えるよ。クラウドが私を見つけてくれたみたいに、今度は私がクラウドを見つける」
私はクラウドの体をそっと離す。
クラウドの背中を見つめて、見えない手でその背中を押してやる。
それがきっと、今の私にできる一番のこと。