本当の君を探して
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水音がやけに耳に響く。
優しく私の身体に絡み付いてくる水は、少しも重たいとは思わなかった。
それどころか、身体が清められて軽くなるような気さえした。
私は一歩ずつ、でも確実にクラウドに近づいていった。
クラウドは逃げたりせずに、私を真っ直ぐに見つめて私を待ってくれている。
「探してたんだよ、クラウドのこと。フェンリルも置いたまま、急に居なくなったから…すごく心配してたんだよ?」
私は自分の声が震えているのが分かった。
置いていかれたかもしれない、とずっと心のどこかで怯えていて。
抱えていたものが解放されて、安心してしまったから、緊張の糸が途切れてしまった。
私はそれ以上何も言えなかった。
何から言えばいいのか分からなくて困っていた。
言いたいことは本当に沢山あるのに。
私がクラウドから一メートルほど距離を置いたところで立ち止まって俯いてしまうと、今度は漸くクラウドから私の方へ一歩を踏み出してくれた。
そして、私の身体を、逞しい腕で抱きしめてくれた。
いつからクラウドはこのエアリスの教会の泉の中に居るんだろう。
クラウドの身体はすっかり冷えてしまっていた。
元々体温は高くないから、きっと寒いくらいだと思う。
でもクラウドは黙ったまま、きつくきつく私の身体を抱きしめて離さなかった。
クラウドの、少し速い心臓の音が聞こえる。
私の鼓動も、それにシンクロして少しずつ速くなる。
やがて二つの心臓の音が完全に重なっていく。
そして、ややあってから、クラウドはぽつりと呟いた。
「心配かけて…悪かった。ごめん……」