本当の君を探して
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「なんだ、一番大切な所を探していなかったのだな」
ルーファウスが呆れたように声を上げる。
私は反論することが出来ずに俯いた。
するとレノが私の肩に馴れ馴れしく腕を置いてきた。
レノはいつもそうだ。
私の側にいる時は、何かにつけて私の肩に腕を置いてリラックスしていた。
私はレノの腕置きじゃないってば。
レノは真っ直ぐにルーファウスを見つめて、ルーファウスは彼の上司であるのに少しも物怖じすることなく言葉を紡いだ。
まあ、それがレノの良い所なのだけれど。
傍から見ている私やツォンやルードは内心いつも冷や冷やさせられているのを、レノ本人は全く知らないのだから困ったものだ。
「社長、そんな言い方はないんじゃないですか、と。社長もイフがもしも居なくなったらがむしゃらに探すに決まってるでしょう、と」
「レノ…」
私が心配そうにレノを見上げると、レノはにやりと笑って、私の耳元で小さく囁く。
私以外の誰にも聞こえないような、空気にさえ融けてしまいそうな掠れた声で。
「貸し一だぞ、と」
「了解、と」
私は笑ってそれに答えた。
いつだってレノは私の味方でいてくれた。
私が神羅ビルを出た時も、私を責めたりせずに、旅の途中で会った時には、昔と同じように気楽に接してくれた。
そのレノの優しさに私がどれだけ救われてきたか。
レノはきっと知らない。
そしてこれから先、レノに話してあげるつもりはない。
なんだか今更昔の話を穿り返すのも、恥ずかしいような気がして。