愛を知らないままで
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「…馬鹿」
カダージュが完全にいなくなったのを気配で確認してからイフはゆっくりと上半身を起こした。
ずっと同じ体勢で眠っていた為に身体の節々がズキズキと痛んだ。
でも、それ以上に心の方がずっと悲鳴をあげていた。
「カダージュ…君が私を好きだってことくらい、ずっと知ってたよ」
誰にともなく、ぼんやりと呟く。
その声は朝の鳥の囀りにかき消されてしまいそうなほどに小さなものだった。
イフは椅子から立ち上がり、硬くなってしまった身体を伸ばす。
イフにもカダージュにも、残された時間はあまりにも僅かだ。
イフはカダージュたちがジェノバを手に入れ、リユニオンを果たすその前にカダージュたちが消えずに済む方法を見つけなければならない。
そして自分自身の心にも決着をつけなければならない。
カダージュの想いを受け止めるのか。
それとも拒むのか──
イフは窓の外の快晴を半ば睨み付けるようにして見上げた。
立ち止まって悩んでいる暇などないのだと自分に言い聞かせながら。
《終》
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