最初で最後の君との約束
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クッキーの真ん中にはネコの顔が描かれていて、少しずつ顔立ちが異なることから1枚1枚梨紅が手書きしたのだということ分かる。
周りはチョコレート色だけど、ネコの輪郭部分はバニラ色でとても手の込んだ作りになっている。
相変わらず器用だな、と感心せずにはいられない。
これは理由にならないだろうか。
もう少し、梨紅と二人だけで過ごす口実に。
紙袋の中にもう一つ小さな包みが入っていたけれど、今は気づいていないふりをしておく。
「一人で食べるの、もったいないな…」
「?」
「来るか、家?ホットティーか何か出すから、暖まってから帰れよ」
「え?でも…こんな時間から迷惑だよ」
「大丈夫。俺の家、誰もいないの知ってるだろ?」
前に一度梨紅を家に招待したことがある。
その時に両親は外国で仕事をしていて居ないという話をその時にしたから、覚えてくれているはずだ。
梨紅は少し考えてから、やがて小さく頷いた。
「じゃあ少しだけ、お邪魔しちゃおうかな」
照れたように笑う梨紅を見下ろして、俺も小さく笑った。
今日が終わるまであと数時間。
梨紅が俺の家にいられる時間はもっと短い。
それでも自分が生まれたこの日に、彼女と一緒に過ごせる喜びを少しでも長く感じていたい。
その他大勢からの
数多くの祝福の言葉より
たった一人、君からの
おめでとうの一言だけが
今の自分が一番欲しいもの
他には何も要らないから
今日この日だけ
たった一つの願いを叶えて──
《終》
