最初で最後の君との約束
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よくよく考えたら、今日は制服を着ていたんだった。
何も考えずに寝転んでしまったけれど、制服なんかで草の上、寝転んじゃいけないよな。
紺色だから目立たないかも知れないけど、汚れたら落とすの大変だもの。
でも、不思議とすぐに起き上がってしまいたくなかった。
このまま此処に眠って、入学式さぼっちゃうのも悪くないかも知れない。
先生には目をつけられちゃうかも知れないけど、高校生になったんだから、そういうのもちょっと体験してみたいな。
やっぱり気持ちがいいから少し眠っちゃおう。
入学式までまだ時間はあるし。
太陽の光も心地よい温かさを保ってくれて、私が意識を手放すのに、そう長い時間はかからなかった。
「……おい」
声が聞こえたような気がして、私はゆっくりと瞼を持ち上げる。
日差しが眩しくて、うっすらとしか目が開けられない。
それにしてもどれ位眠っていたんだろう。
そんなに長い時間は眠っていないとは思うけれど、意外に眠りは深くて、時間の感覚はすっかり失われてしまっていた。
「大丈夫か?」
眩しく輝く金の髪。
ううん、陽の光が当たっているからなんだけど、日本人の髪色ではなかった。
柔らかい茶色。
瞳の色も、宝石みたいな碧色。
恐ろしく整った顔立ちで、芸能人か何かかも知れないと思った。
白磁の肌は、女の人のように肌理細かく、美しかった。
「……聞こえてないのか?」
「ううん、聞こえてる」
彼のあまりの綺麗さに目を奪われて、答えを返す事を忘れていた私は慌てて返事をした。
私はなんて失礼な事をしてしまったんだろう。
誰だってじろじろ見られて、無視されたら気分悪いよね。
「気分でも悪いのか?」
「?……どうして?」
「こんな所で寝てるから。女子が普通こんな所で寝たりしないだろ」
「それって『偏見』って言うんだよ」
私はその男の子の言葉にちょっとムッときて、上半身を勢いよく起こす。
いきなり起こしたものだから、少し目眩がした。
「女の子だって、芝生の上に寝転びたくなる時があるんだから。少なくとも、私は好きだから」
私が力を込めてそう言うと、『彼』は小さく笑った。
……今の、別に笑う所じゃないよね?