最初で最後の君との約束
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細い指先
頼りない笑顔
小さな肢体
澄んだ声
全部全部愛おしくて
自分だけのものに出来たら
もう二度と
その手を離しはしないのに──
《彼女からの言葉だけで》
シャッターが下りる音。
真っ白なフラッシュの光。
生き物みたいなカメラのレンズ。
全部自分に向けられているはずのものなのに、とても遠くに感じていた。
あまり本を読む方ではないから、適切な表現がよく分からない。
けれど今の状況を敢えて表現するなら、透明な硝子板の向こうの世界から自分をぼんやりと眺めているような、そんな不思議な感覚だった。
誰かが何かを言っているけれど、それを言葉として脳が処理しない。
そうなれば言葉はただの雑音でしかない。
自分の心臓の音がやけに身体に響いて煩い。
雑誌の撮影がなかったなら、今すぐにでも家に帰ってベッドで横になりたい気分だった。
今日は自分の誕生日で。
女子達から何度もおめでとうと言われたり、プレゼントをもらったり、嬉しいはずなのに、正直に喜べない。
誰からの言葉も、誰からの贈り物も、全部同じようにしか感じられない。
ただ一人、あいつからのものを除いては。
きっと、期待していたんだと思う。
あいつから祝ってもらえることを。
恥ずかしそうな笑顔で「おめでとう」と祝福してもらえるとばかり、思いこんでいたんだ。