最初で最後の君との約束
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「いいや…お前の言うことは間違ってない」
「本当に?」
「…嘘、ついても仕方ないだろ?」
そうなのだ。
珪くんの表情の理由は気になるといえば気になる。
それでも珪くんが私に嘘をついたところで、何のメリットもない。
「そうだね…そう、だよね」
「ああ、そうだ。でも…」
「でも?」
「いや、何でもない」
珪くんはぷい、とそっぽを向いてまた作業を初めてしまう。
どうやらこの話はここまで、ということらしい。
それなら私が伝えたいことがある。
桜の季節がもう一度来てしまうその前に。
「珪くん、あのね。卒業式のあと、珪くんに話したいことがあるんだけど」
「?今話せないことなのか?」
「…今は、まだ……」
その勇気が出ない。
君に伝えていないこと。
君に伝えたいこと。
静かに首を振れば、珪くんは小さく頷いた。
「俺も、お前にまだ伝えていないことがある。その時に、話す」
「うん、約束、だね」
視線だけを交わらせてかわす約束。
でも、決して違うことのない約束。
夕焼けに染め上げられた教室で。
私は未来へ続く道を創ったんだ。
もう少し、もう少しだけ
私に時間を頂戴
弱虫な、臆病な私に
別れを告げるための時間を
そうしたら君に伝えるから
この胸に隠したままの気持ちを──
《終》
