最初で最後の君との約束
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少しずつ、少しずつ
桜の蕾は大きく膨らみ始めて
いやでももうすぐ
春が訪れることを感じてしまう
あともう少しで、
君との別れの季節が来る──
《まだ伝えていないこと》
放課後の教室。
先生に仕事を頼まれてしまって居残り中。
広すぎる教室には、私と珪くんの二人だけ。
「ごめんね、せっかく仔猫を見に行く約束してたのに、行けそうにない上に、私の仕事まで手伝ってもらっちゃって」
「気にするな。猫はまた別の日に見に行けばいいし、もう一人の日直休みなんだから、一人じゃ終わらないだろ?」
大量のプリントを仕分けして、製本する作業を続けながら私たちは会話をする。
お互いに要領はいい方だから、これくらいのことでページを飛ばしたりといったミスをすることはない。
作業の手は止めず、視線は下に落としたままの会話。
それでも私の心は舞い上がっていた。
珪くんと一緒に居る。
ただその事実だけが嬉しくてたまらないのだ。