最初で最後の君との約束
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優しく、壊れ物に触れるような手つきで梨紅の髪を撫でる。
ふわり、とシャンプーの香りが鼻孔をかすめる。
もっと、触れたい。
もっと、近付きたい。
自分の欲求なままに、梨紅の髪を耳にかけ、露わになった頬に触れる。
繊細で、肌理が細かく艶やかで。
自分とは違う感触に、思わず生唾を飲む。
今なら、伝えてもいいだろうか。
ずっと秘密にしていた、本当の気持ちを。
梨紅の耳元に、そっと唇を寄せる。
そして小さく囁く。
深い眠りの中にいるお前に、少しでもこの気持ちが伝わればいい。
今はまだ、起きている時には言えそうにないけど。
いつかきっと伝えるから。
「梨紅、愛してる」
囁いた言葉が梨紅に届いたかどうか分からない。
微かに綻んだ口元は、見ている夢のせいなのか。
それとも──
眠り姫に愛を囁いて
今の自分の正直な気持ち
これからも変わらぬ君への愛
だから、もう少しだけ待っていて
過去への決別を終えるまで──
《終》
