最初で最後の君との約束
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
何故だろう。
初めてくる場所の筈なのに、私はこの場所から見上げる空を、草花の匂いを、知っているような気がした。
ずっと、この景色を探していたような気がした。
私は今、純白の教会を眺めている。
はばたき学園の敷地内にある、少しこじんまりとした教会。
上の窓の所には細かい模様のステンドグラスがあって、扉にも花のような装飾が施されている。
私はその教会に引き寄せられるように、前へ進んだ。
教会から目が離せなくなる。
「……中に入ったら怒られるかな?」
外観だけでこんなにも綺麗なのだから、内装はもっと美しいんだと思う。
建築に興味はなかったけれど、中がどんな風になっているのか知りたくて仕方がなかった。
私は一人呟きながら銀色をしたドアノブに触れる。
ひんやりとした感触を心地よく思いながら、期待を胸に私はドアノブを回した。
「……あれ?」
ドアノブはほんの少し回っただけで、すぐに動かなくなってしまった。
ガチャガチャと何度か動くか確かめてみたけれど、やはり鍵がかかっていて開かないようだった。
「やっぱり駄目か…」
私は仕方なく、諦めて扉から離れる。
入りたかったけれど、開いていないのだからどうしようもない。
もしかしたら誰かが鍵を持っていて、いつか開けてくれるかも知れない。
その望みに賭けるしか、今の私には道は残されていなかった。
「……でもやっぱり気になる!」
諦めの悪い私は教会の回りを回って、どこか中を覗けそうな窓はないかと探す事にした。
でも探せど探せど、窓ガラスは全てステンドグラスで、中の様子を探る事は出来なかった。
うっすらと遠くにパイプオルガンが見えた気がしたけれど、定かではなかった。
教会の回りをぐるぐる回るのも疲れて、私は教会の裏にあった、小さな花畑の横の草原に寝転んだ。
草の匂いと土の匂いと。
懐かしい香りが私の鼻腔をくすぐった。