最初で最後の君との約束
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「部活の帰り?」
「おう?自主練やったら腹減っちまったから、ご飯の前に腹拵えってやつだ」
「あはは。ご飯の前に腹拵えって変なの」
梨紅は俺の言葉にからからと笑った。
それはさっき見た完璧な比率で作られた人形のような笑みじゃなくて。
くしゃっと崩れた人間味のある、愛らしい表情だった。
梨紅がいつも俺に見せる笑い顔はこっちなのだ。
二人で遊びに行ったり、食事をするようになって、ようやく梨紅はその笑顔を見せてくれるようになった。
親しい人にしか見せない表情、とでもいうのだろうか。
その笑顔は梨紅が心を開いてくれた証で。
だからこそ梨紅が見せる本当の笑顔はあどけなくて、どうしようもなく無防備なのかも知れない。
危なっかしくて。
不安定で。
だからこそ、その笑顔の為な何かしてやりたいと思わずにはいられなくなる。
「腹減ってんだから、仕方ないだろ」
「そうだね。和馬、誰よりも頑張ってるもんね」
梨紅はふと視線を逸らして、窓の外を見つめる。
きっと俺が練習している風景でも思い描いているんだろう。
