最初で最後の君との約束
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動揺を押し隠して、俺は平静を装う。
もしかしたら梨紅にはバレていたかも知れないけど、それでも、だ。
「よ、よう。お前こんな所でバイトしてたのかよ」
「うん、まあ…働かなくちゃいけないし、ね」
梨紅には姫条と似たような事情があるらしかった。
詳しく聞いた事がないから、俺もはっきりとは知らないけど。
梨紅は俺を見つめていたけれど、やがてまた先程見せた営業スマイルを俺に向けた。
どうやら業務時間中である事を思い出したらしい。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
マニュアル通りの言葉を巧みに使いこなす梨紅に導かれて注文を終えた俺は、ハンバーガーのセットが出来上がるのを待つ。
本当は食べながら帰るつもりだったけれど、結局は店内で食べる事にした。
梨紅がいるなら、此処でのんびりするのも悪くはないと思って。
トレーを受け取る時に、梨紅は営業スマイルを崩す事なく、とても自然に俺に囁いた。
「あと10分で仕事終わるから、店内で待ってて?」
「…お、おう」
まるで恋人達が交わす内緒話のように思えて、思わず動揺してしまった。
上擦った声で返事をすれば、梨紅は満足そうに頷いた。
