最初で最後の君との約束
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桜はすっかり満開で、桜並木道を通ると柔らかい香りに包まれる。
生まれてから15回目の春は相変わらず美しかった。
家の都合ではばたき市を離れて、またこうして此処に帰ってきたけれど、やっぱりはばたき市の春の方が好き。
向こうの春が嫌いだった訳ではないけれど、こちらの空気の方が私にあってる気がするの。
まだ15年しか生きてないくせに生意気言うなって感じだけれど。
桜並木を抜けて歩いて行くと、大きな坂道の前に出る。
はば学まで続く、長く緩やかな坂。
青い空と海が繋がって、その境界が何処なのか分からなくなる。
まだ見た事はないけれど、朝日が昇り始める頃と、夕日が海に沈む頃は、きっと今見ている景色よりもずっと綺麗なんだろうな。
今の朝の景色でさえ、息をのむ程に美しいから。
私はその景色を横目にどんどん坂道を上っていく。
かなり長い坂道ではあるけれど、体力に自信のある私にとっては、これくらいは何でもなかった。
マラソンとか持久力がものを言う競技も別段苦手ではなかったし。
「やっと着いた……此処が『はば学』……」
巨大な門と、巨大な校舎。
あまりの大きさに圧倒され通しだった。
私の通っていた中学もそんなに小さい方ではなかったのに、今眼前に広がる景色と比較してみると、慣れ親しんだ中学の校舎や体育館が、まるで子供騙しのように思われた。
私はきょろきょろと挙動不審に辺りを見回す。
少し早く来てしまったようで、他に新入生らしき学生の姿はなかった。
時計を見ても、入学式までまだ少し時間がある。
先に体育館に行って時間を潰すのも勿体ないような気がして、私は校内を探索してみる事にした。
これから三年間お世話になる場所な訳だからよく知っておくのも悪くはないと思って。