最初で最後の君との約束
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どうやら[#dn=1#]が手にしていた細長い紙は短冊らしい。
ちらりと見えた限りでは、既に何か願い事が書き込まれているようだった。
でも、何故今頃?
そんな疑問が頭を過ぎる。
この笹は、一週間前からこの場所にあったはずだ。
願い事があるのなら、こんなぎりぎりの時間にしなくても、もっと前から結ぶことが出来たはずだ。
今日の昼休みだって、[#dn=1#]はここにいたのだから。
「どうして今頃?」
七夕もあと数時間で終わってしまう。
空にはもう、天の川が見えているのに。
[#dn=1#]は困ったように笑いながら、言葉を続けた。
「みんなに願い事見られちゃうの、恥ずかしくて。早くここに結んだら、誰かに見られちゃうから」
「…読まれて恥ずかしいことを書いたのか?」
まさか[#dn=1#]に限って、そんなことはしないと分かっている。
だから俺は冗談めかした口調で尋ねた。
しかしそれでも[#dn=1#]はそれを本気で受け取って、顔を真っ赤に染める。
暗がりの玄関前でもよく分かるくらいに。
「は、恥ずかしいことなんて書いてないもん!」
そう言って、[#dn=1#]は短冊を俺に押し付ける。
俺はそれを受け止めて、[#dn=1#]の女の子らしい丁寧な字が書かれた短冊に視線を落とす。
“みんなともっと仲良くなれますように”
少しも恥ずかしくなんかない。
[#dn=1#]らしい、とても真っ直ぐな願いだった。
子供の頃から少しも変わらない梨紅の一面を垣間見ることが出来て、俺は思わず頬を緩める。
「や、やっぱり笑った…だから、絶対にみんなが見ている時間に飾りたくなかったんだよー」
うるうると無意識の内に瞳を潤ませる[#dn=1#]に、悪いことをしてしまったな、と思う。
そんな意図があって笑った訳ではないのに。
純粋に嬉しかっただけだ。
俺の恋した少女が、また目の前に現れてくれたことが。
「そういうつもりで笑ったんじゃない。[#dn=1#]らしい、と思って」
「本当に?」
「ああ。ここで嘘ついても仕方ないだろ」
それはそうだけど、と言いながらも[#dn=1#]はいまいち納得していないようで少しばかり不機嫌そうな表情を浮かべている。
