最初で最後の君との約束
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願い事なんて
ないのかと思っていた
いつだって幸せそうに
いつだって嬉しそうに
穏やかな表情で笑うから──
《みんなにはないしょの》
珍しく人通りの少ない下駄箱。
たまたまそこを通りかかったら、梨紅がいた。
梨紅は一人で何かを一心に見上げていた。
戸惑ったように。
憂いでいるように。
色素の薄い瞳が差し込む太陽の光を反射して、きらきらと輝いている。
「[#dn=1#]?」
何気なく呼び掛ければ、梨紅はびくり、と肩を震わせてからこちらを振り返る。
一瞬怯えたような瞳をしていたけれど、俺の姿を認めるとそれをすぐにかき消した。
それは決して否定的なものではなく、俺で助かった、といった感じだった。
何か他人に見られて拙いようなことでもしていたのだろうか。
俺が見ていた限りでは、今日の七夕の為に飾られた笹を見ているようにしか見えなかったけど。