最初で最後の君との約束
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有り得る。
あの母親なら、私の時計を弄るくらい、簡単にやってのけるだろう。
寧ろ楽しんでやっていそうな気がする。
「だから、お前は遅刻じゃない」
「そっか……良かった。でも、ごめんね。遅れてなくたって、珪くんを待たせちゃった事に変わりはないもの」
「気にしてない」
短い言葉。
でも、それが珪くんの全て。
沢山の思いが詰まった。
「……行くか」
「うん!そうだね」
私は珪くんと並んで歩き出す。
違う筈の歩幅。
でも、今は同じ。
それは私が大股で歩くから。
それは珪くんが私に合わせて歩くから。
だから、私達は今、並んで歩いている──
溢れかえる人混みの中。
互いを見失わないように。
私はそっと手を伸ばす。
ただ、君に触れたくて。
はぐれないように、なんて言い訳だ。
珪くんの手に触れるか否か、という所で、私の手はすっぽりと包み込まれてしまった。
私が掴む筈だった手に、優しく握り締められている。
