最初で最後の君との約束
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「……あ、あれ?怒ってないの?」
私は間抜けな顔と声で珪くんに尋ねる。
すると珪くんは苦笑いをやめて、分からない、といった顔をする。
「……どうして?俺、別に怒ってないけど?」
「え?だって、私、遅刻しちゃって……」
「時計、見てみろよ」
そう言って、珪くんは真後ろにある大きな時計を指差す。
私はその綺麗な指先に導かれて、視線をそちらに移す。
するとどうだろうか。
時計は待ち合わせ時間の五分前。
つまり、時計の針は一時五十五分を指し示している。
「???」
一体どういう事なのだろう。
私の脚力を以てしても、待ち合わせの時間には間に合わなかったのだ。
五分前に着くどころか、五分間に合わなかったのだ。
それなのに、何故。
私は自分の左手にはめられた時計を、思わず凝視する。
確かに私の時計は二時五分を指し示している。
間違いじゃ、ない。
「あ、あれ?」
「時計、おばさんが早めてくれてたんじゃないか?梨紅が遅れる事を見越して」
「そう、なのかな……」
