右手に太刀を左手に君の手を
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ずっとあなたに言えなかったことがあります。
話したくて話したくて仕方がなかったこと。
でも、私があなたの側にいるためには“それ”を話すことは出来なかった。
許されなかった。
“嘘をつく”ということを、あなたが嫌っているということは痛いくらいに分かっていたのに──
《嘘からはじまる恋》
私がお館様、武田信玄様に仕えるようになってから暫く経つ。
お館様とごく一部のもの以外には私の秘密は隠してある。
私の秘密──それは私が“女である”ということ。
戦場に出て戦う上で、女であると事実は煩わしいだけだ。
邪魔な存在にしかなりえない。
あの場所に、性別など必要ない。
大切な家族を守るためには、私が武器を取らなければならなかった。
誰かからの庇護が得られなければ、私の家族がみな無事に生きていくことは出来そうになかった。
戦い、人を殺めることが辛くないと言えば嘘になる。
だけどそれ以上に、私は家族を愛しているから。
だから私は今日も、これからもずっと嘘をつき続けるんだ。
たとえそれが好きな人を欺くようなことになったとしても。
この胸に宿る想いには蓋をする。
“男”としての私にそんな感情は必要ないから。
あの人、幸村様にとっても、この想いは迷惑なだけだから。