無意識の海より生まれ出づるもの
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「私はあれが和だとは思わない。あれは私たちの知ってる和じゃない」
黒瑙は珍しく強い口調で俺にそう宣言した。
その眼差しは真剣そのもので、俺を射抜くように見つめている。
俺はあまりに真摯なその瞳から逃れられそうになかった。
「尚が信じてくれなくてもいい。でも私は信じてる。あれは和じゃない、絶対に和じゃない。和は私たちを、私たちの大切な人を傷つけるようなこと、絶対、しない」
黒瑙ははっきりと言い放った。
それは俺の否定を寄せ付けない強さも秘めていて。
でも、盲目的であるかのように思われた。
黒瑙だって、分かっているはずだ。
俺たちの今いるこの世界は、俺たちが元いた世界と似ているようで、微妙に異なっているということ。
悪魔が出るだけじゃない。
俺たちの世界の常識が、この世界ではまったく通用しない。
だからこの世界では和也が生きていたとしてもおかしいことではないのだ。
黒瑙が受け入れたくない気持ちも理解できるつもりだ。
和也がいてくれたなら、今の俺たちの関係もどうなっていたかは分からない。
よくなっていたかもしれないし、悪くなってしまっていたかもしれない。
でも、少なくとも黒瑙は悲しい顔をするようなことはなくなるはずだ。
「理由は分からない。でもなんとなく分かるの。あれは和じゃない。あれはむしろ……」
「あれはむしろ……?」
「ううん、何でもない」
黒瑙は一度は口に出そうとした言葉を何故か飲み込んだ。
そしてその表情はどこか物憂げだ。
黒瑙は一体何を考えたのだろう。
俺には予想もつかない。
