無意識の海より生まれ出づるもの
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
黒瑙は瞳を少し潤ませる。
祖母譲りのダークグリーン色の双眸が微かに歪む。
黒瑙にそんな表情をさせてしまっているのは他でもない俺自身だ。
「和也は……和也はどんなに願ってももう私たちの側にはいてくれないんだよ?」
そんなことは俺だってちゃんと分かってる。
途切れ途切れの断片的な記憶の中で覚えている。
冷たくなった和也が部屋で横たわっていたこと。
黒瑙が俺の腕の中で一日中泣き続けたこと。
忘れられるはずがないんだ──
「和也がいるのは私たちの心の中だけよ」
今にも零れ落ちそうな涙を拭って、努めて強気な表情をしてみせる黒瑙は何だかとても健気で。
素直に、今すぐ黒瑙を抱きしめたい、と思った。
でも、自分で自分を許すことの出来ない俺に黒瑙を抱き締める資格などない。
和也のことに決着をつけるまでは黒瑙には何もしてやれないと思う。
それに黒瑙もそれを望んではいないと思うから。
「尚也……尚、“あれ”が……今私たちの前に現れた“あれ”が和だと思うの?」
「──分からない」
「……そう」
俺は黒瑙の問い掛けに対して、自分の思うまま正直に答えた。
黒瑙にだけは嘘はつきたくなかった。
例えそれが弱い自分であったとしても隠したくはなかった。
黒瑙は明らかに落ち込んだような表情を見せる。
でも俺には分からない。
あの和也が俺たちの知る和也なのか。
“あれ”は神取に、アキによって創られたものなのか。
