無意識の海より生まれ出づるもの
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黒瑙は一度俯いて、しかしそれでも俺を真っ直ぐに見つめ返してきた。
その瞳はとても澄んでいて何の迷いもない。
彼女の瞳を見ていると迷っているのは自分の方で、黒瑙にそれを見透かされているだけのような気がしてくる。
情けないけれど、やっぱり俺にとっては和也も黒瑙も同じように大切で失うことはやっぱり怖いんだ。
「私に聞かなくちゃいけないようなことかな」
凜とした声が凍った空気を裂いて俺の耳に届く。
いつもなら柔らかいはずの黒瑙の声が、今は驚くほど鋭く、まるで喉元に刃でも突き付けられているかのような感覚だ。
その声に俺は、言葉を返すことが出来なかった。
何故なら、俺の中で未だに答えは出ていなかったから。
和也を前にすると胸が苦しくなる。
体が震える。
息が出来なくなる。
和也が黒瑙を連れて行こうとしてるのは知ってる。
仲間たちの助けがなかったなら、黒瑙はきっと和也に攫われてしまっていた。
俺一人の力では黒瑙を守りきることが出来なかった。
幼い時からずっと黒瑙だけは、何があっても守り抜こうと心に決めていたのに──
「和也は……私たちの和也はもういないんだよ?」
言葉を紡ぎ出すことが出来なかった俺の代わりに、黒瑙は更に言葉を続けた。
黒瑙の口から出た言葉は、俺が予想だにしていないものだった。
まさか黒瑙から和也を否定するような言葉を聞くことになるとは全く思わなかったからだ。
