淡く鈍いその煌めきは
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ほたるは黙ったままで暫くは銀時に抱き締められるがままにされていたが、ややあってから全く次の行動に移す気配のない銀時の身体をそっと離した。
その行動に驚いたのか、銀時は目を見開いてほたるを見据えている。
まだほたるの問い掛けに対する答えは、ない。
「銀ちゃん、変わったね」
ほたるはぽつりと唐突に切り出した。
その声に漸く我に返った銀時もその言葉をそのまま返す。
「変わったのは……オメーも一緒だ、ほたる」
銀時の言葉にほたるは厚い雲に覆われた空をゆっくりと見上げた。
澱んだ空の隙間から純白の雪の結晶が二人の元に舞い降りてくる。
雪はほたるの金の髪に触れてゆったりと融けてゆく。
目尻に触れた雪はまるで涙の粒のようにも見える。
「同じではいれなかった……変わらずにはいられなかった。でも……今も銀ちゃんの傍に居たい気持ちは変わらないよ?だから私は此処にいる」
あくまでも目を合わすことはなかったが、ほたるははっきりと言い切った。
その言葉は今空を覆う曇天と違い、一点の曇りもなかった。
「ずっと……探していたんだから」
「じゃあもう居なくなるんじゃねーぞ。俺は何処にも行かねーからよ」
ほたるは視線を銀時に戻し、やがてゆっくりと微笑んだ。
蕾が花開くような、そんな笑顔。
それこそが、銀時がずっと求めていたほたるの笑顔だった。
二人はどちらからともなく手を繋いだ。
もう、離れたりしないように。
あの時ほたるを抱き締めて離せなかった理由を、銀時はほたるに話していない。
“ほたるが雪に融けていなくなってしまいそうだったから”
なんて。
恥ずかしくて言えそうにないから──
《終》