淡く鈍いその煌めきは
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「じゃあ行くかァ」
銀時はマフラーに手袋をし、同じようにほたるにも防寒着を着せてからほたるの手を引いた。
互いの熱を感じることはなかったが、繋がっている、と触れている感触があるだけで良かった。
「行きたい所があるの。ついて来て」
ほたるはそう言うなり銀時の前に立って歩き出した。
銀時は何となく理解していた。
ほたるが自分を何処に連れて行くのかを。
そして銀時の予想は外れなかった。
ほたるが銀時の手を引き、白く染められた道を導いた先は、銀時とほたるが再会した場所だった。
歌舞伎町の外れ、人が訪れることなどほとんどない寂れた広場だった。
「ここ……銀ちゃんともう一度逢えた場所だよ。覚えてる?」
ほたるは懐かしそうに碧い瞳を細めて景色を見やった。
その時にはほたるの手はすでに銀時から離れていた。
細い足で、覚束無い足取りで、ほたるは雪の上を歩いた。
強い風が吹けば煽られて連れ去られてしまいそうで。
銀時は思わずその場から駆け出してしまっていた。
「ぎ、銀ちゃん……?」
銀時の突然の行動に対して、ほたるは戸惑ったような声をあげる。
しかしその声色に拒絶の色は含まれていなくて。
銀時はますますほたるを抱き締める腕に力を込めた。
「一体どうしたの?銀ちゃんらしくない」
抱き締められた体勢のままでほたるは優しい声で言った。
歳は銀時の方が上なのだが、まるで何かに怯える弟をあやす姉のような穏やかで柔らかな声。
ほたるのそんな問い掛けにも銀時には答える余裕がなかった。
海莉の躯を決して離さないこと。
そして。
自分を必死に落ち着かせることだけが今の銀時に出来る数少ないことだった。