どこかのだれかの未来のために
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
***
いすみが最前線に加わった5121小隊は、善戦を続けた。
幻獣の撤退を許さず、完全勝利を収めることさえあった。
“舞うように死を散蒔く”
絢爛舞踏がそう喩えられることがあるが、いすみはまさにそれに近かったのではなかろうか。
僕は素直に、いすみが士魂号で戦う姿を美しいと思っていた。
でも、そんないすみはもう居ない。
このちっぽけな世界の、何処にも。
いすみは、死んだ──
僕を、庇って。
何の躊躇いもなく。
勝利を続けた僕達は、激戦区への転戦を余儀なくされた。
強い部隊が当たるのは、当然のことだ。
これは遊びではないのだから。
いつもギリギリの勝利だった。
だから、敵の戦力を知った時に、心に隙が生まれた。
戦士としてあるまじき油断が、いすみを失う結果になってしまった。
舞は、僕を責めたりしなかった。
誰も、僕を責めなかった。
まさか僕が油断したなんて、誰も夢にも思っていないんだろう。
だけど。
却って、その心遣いが。
僕にとっては、苦しくて、苦しくて、仕方がなかった──