何色にも染まらぬ君へ
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趙雲自身、彼女が嫌いな訳ではない。
寧ろ好意的に思っている方だと思っている。
彼女は容姿も整っているし、何よりも高い志を持ち、その心は何者にも代え難く気高く美しいのだ。
そんな彼女に心惹かれないわけがないのだ。
ただ、しかし修行に関しては話は別だ。
己を磨き、強くなることに関しての彼女は“異常”だ、と言っても過言ではない。
自分に対して。
他人に対して。
とことん容赦が無い。
甘えは一切許さず、ひたすらに自分を鍛え抜く。
だからこそ、彼女は短期間の間にめざましい上達を遂げだのだろう。
馬超や姜維が舌を巻く程の速度で。
だからこそ、伊都に槍術を教え込んだ趙雲は不安にならずにはいられないのだ。
どことなくまだ危うさを秘めたこのあどけない少女が、このあまりに短期間の間に手にしてしまった力に溺れてしまいやしないか、と。
そんなことはない、とすぐに否定してやれないことが何よりやるせなかった。
「それなら早速行きましょう。私も早く趙雲殿のように強くなって、劉備殿のお役に立ちたいんです」
伊都はきっぱりと告げると、趙雲の腕を取って、廊下を歩き始めた。