何色にも染まらぬ君へ
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少女の名は伊都。
劉備の遠縁の娘だといわれているが、実の所は誰も知らない。
つい先日この軍に加わったばかりの、まだ初陣すら経験していない少女だった。
何故彼女が戦場に身を置こうとしているのか。
その理由はあの劉備ですら知らなかった。
ただ、彼女の曇り無き眼に魅了され、従軍を許したのだと劉備は趙雲に告げた。
それ以上の事を、蜀軍の誰も知らない。
そして彼女自身も多くを語らず、また詮索を許さなかった。
しかし、それでいて彼女は驚く程他の武将や女官、兵卒達と仲が良かった。
まるで昔馴染みであるかのように親しげで、友好関係をしっかりと築き上げていた。
それこそがきっと、劉備が話していた伊都の魅力なのだろう、と趙雲は感じていた。
「それならば今からどちらへ参られるおつもりだったのですか?」
「え…いや、その──」
逃げるつもりだった。
などとは、口が裂けても言えない。
そんなことを言ってしまえば、怒った彼女が何をするか、趙雲には皆目見当もつかなかった。