何色にも染まらぬ君へ
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ダークグレーの大きな瞳が朝日を浴びてきらきらと輝いている。
伊都はそのあまりにも綺麗で真っ直ぐな瞳を俺に向けてくる。
本当は目を逸らしてしまいたいはずなのに、伊都の瞳にはそれをさせない不思議な魅力があった。
兄ちゃんも、あの中津とかいう奴もきっと伊都のそんなところに惹かれたんだと思う。
改めて俺は今の状況を把握する。
俺はベッドに寝転がっていて。
そして俺の上に伊都が跨がって、俺を見下ろしている。
細い手首が大きめの服の袖からちらりとのぞいているのを見ると、伊都が本当に男なのか疑いたくなる。
兄ちゃんは曖昧な返事しかしてくれないし、伊都は笑って誤魔化すし。
「何がしたいんだよ」
「森を起こしたい」
「もう起きてるけど?」
「ベッドから起き上がらないと起きたとは言えない」
「あんたが上に乗っかってるから起きようにも起きられないんだけど」
「……あ。それもそうか」
“ごめん”と小さく謝ってから伊都は俺のベッドから軽やかに下りた。
そういえば、昨日は慌ただしくてすっかり忘れてたけど、今うちの家には伊都がいるんだよな。
俺がわざわざ自分で母さん達に頼みこんで呼んだんだから。
忘れてんなよ、って感じだよな。
「あんた、兄貴とかといる時もそんなことしてんの?」
俺が何気なく聞いてみると、伊都の天使のような表情が、小悪魔のそれに変わる。
吊り上げられた口元は艶めいていて、怪しさをも帯びていた。
「ふっ、嫉妬は醜いぜ?森ちゃん」
伊都は時々俺のことを子供扱いする。
確かに歳は俺の方が一つ年下だけど、高校生にもなったら一つの差なんてあってないようなものだろう?
実際、俺の方が身長だって高いし、力もある。
体格に自信があるわけじゃないけど、少なくとも伊都よりは体格はいい。
そもそも伊都は見た感じ筋肉らしい筋肉はついていなかった。
「森ちゃんって呼ぶなって言ってるだろ」
俺がムキになって言い返すと伊都はまたニヤニヤと笑った。
……人をからかって楽しんでやがる。