何色にも染まらぬ君へ
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『うん、行ってもいいよ』
唐突な返事であった為に俺はつい聞き逃してしまった。
俺がすぐに聞き返すと、含み笑いのままで、伊都はもう一度答えてくれた。
『だから、行ってもいいよって行ったんだよ』
「本当に?」
『嘘言ってどうするんだよ。自分から誘っといてさ』
確かに伊都の言う通りだった。
だけど、俺はまさかこんなにも早く二つ返事がもらえるとは思っていなかったんだ。
承諾してくれたとしても、何日か経ってからになるだろうな、って。
『チケットは泉宛てで一緒に送ってくれるんだろ?』
「あ、ああ」
『じゃあ泉に案内してもらって行くから楽しみにしててよ。じゃ』
俺が話す前に伊都は早々に電話を切ってしまった。
話したいことは他にもたくさんあったんだけどな。
俺は暫く呆然と家の子機を握り締めていたけれど、母さんが俺を呼ぶ声に気付いて電話を元の位置に戻した。
それにしてもあいつ、簡単に返事したけど良かったのか?
いや、確かに嬉しいことは嬉しいけど、姉がいるって言ってたのに大丈夫なんだろうか。
それに、アメリカの実家には帰らなくてもいいのかよ。
どうせ心配してるだろ。
「森くん!ご飯出来たわよ!」
「今行く!!」
母さんが下の階から大声で呼ぶのが聞こえて、俺は様々な考えを振り払った。
俺が今ここで伊都の事でうだうだ悩んだって仕方がない。
あくまでも伊都の事なんだから。
俺は学習机に貼られた伊都と二人で映った写真をちらりと見てから、部屋の電気を消した。
こうして伊都は俺の家に来ることになった。