どこかのだれかの未来のために
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いすみの言葉に厚志は言葉を失くしてしまっていた。
自分は何か出会ってはいけないものに出会ってしまったような気さえする。
少女の形をした、何か遠い存在。
この世界の謎に触れたもの──
今のいすみはそんな雰囲気を醸し出していた。
「怖がらないで。私は君の“可能性”を失ってしまいたくないの」
切羽詰まった様子のいすみに、厚志は心を動かされた。
何か望みがあるのなら、それに縋ってみるのも悪くない。
この無限のループを終わらせ、最愛の人を救えるのなら、どんな手だって使ってみせよう。
例え自分の手が汚れたとしても、舞を守りたい。
あの人の笑顔を。
不器用なところを。
愛しさを。
守りたい──
「僕は舞を生かしたい。……手伝ってくれる?」
「君が、舞と共に生きることを望むならね。それなら私は君の“可能性”の力になる」
「──わかった」
もしかしたら自分には、選択肢など用意されていなかったのかもしれない。
厚志は後からそう思った。
選ばざるを得なかった。
そんな風にさえ思える。
もて遊ばれるのはもう十分だった。