あなたの奏でる音色
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「それ、本当?」
今にも消え入りそうな声で、茉麻ちゃんは呟いた。
俺は間髪入れずにその言葉に対して頷く。
「約束する。だから俺のこと、もっと信じて?」
そう言うと、茉麻ちゃんは俺の体に抱きついてきた。
震えた体は触れると壊れてしまいそうで。
でも、俺は勇気を出してその体を抱きしめた。
「信じる。あなたは私の希望だわ」
あなたがいるなら、私はもう一度奇跡を起こしてみせる──
茉麻ちゃんは、俺の耳元で確かにそう囁いた。
俺にはその言葉の意味がよく分からなかった。
茉麻ちゃんの言葉はいつも唐突で、彼女にしか納得できないようなところがあるから。
でも、俺が少しでも力になれているのなら、それで十分だ。
迷っている君の心を少しでも晴らすことができるのなら。
たとえ傍にいなくても、君を支えられるような人に、俺はなりたい。
そして、コンクールが無事に終わり、茉麻ちゃんの世界から音楽が失われることはなく。
この時に、茉麻ちゃんが俺のことを“希望”と呼んだことの理由を知るのはもう少し後のこと。
《終》