あなたの奏でる音色
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その言葉を聴いた俺は、思わず茉麻ちゃんの頬を叩いてしまった。
女の子に手を上げるなんてはっきり言って最低だ。
男としても、男でなくても。
でもそうせずにはいられなかった。
あんな茉麻ちゃんの顔は見たくなかった。
「和樹……先輩?」
何故自分がぶたれたのか、その理由を理解できていない茉麻ちゃんは戸惑ったような表情で、俺を見上げてくる。
でも、俺は謝るつもりも、弁解するつもりもさらさらない。
俺は悪いことをしたとは思っていないから。
「煩わしいなんて、思うわけないじゃん!」
「だけど……!私にはそれ以上の価値はないから!」
「価値があるとかないとか……そういう問題じゃないだろ!?茉麻ちゃんをみんなが大切に思ってるのは、すばらしい音楽を奏でることができるからじゃない!!」
俺は声を大きくして言った。
そんなに大声を出さなくても聞こえる距離にいるのに、どうしても強い口調になってしまった。
「確かに、もしかしたら茉麻ちゃんのことをそんな風にしか見てない最低なやつもいるかもしれない。でも俺は、違う!茉麻ちゃんだから大切で、茉麻ちゃんだから好きになったんだよ?俺だけじゃない。日野ちゃんや土浦たち……みんな茉麻ちゃん自身のことが大好きなんだよ!音楽がなくなってしまったとしても、耳が聞こえなくなってしまったとしても。それでも俺は茉麻ちゃんのそばにいるから!」
茉麻ちゃんは、途中からぽろぽろと涙を流し初めてしまった。
でも俺はそれでも言葉を止められそうになかった。
自分の中にある思いを。
茉麻ちゃんに対する想いを。
今話さなければいけないような気がしたから。