淡く鈍いその煌めきは
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「出たー!特賞大江戸遊園地ペアチケットー!おめでとうございます!」
「……」
「マジか……」
自分の耳を疑った。
でもその後に自分の横からぼそり、と聞こえた銀ちゃんの呟きに、それが事実なのだと認識させられた。
けたたましく鳴る洋鈴の音に目眩を覚える。
いつもは遠くから見つめているはずの光景が、いざ自分の身に降り掛かるとこうも動揺するものなのか。
しかも3等や4等でなく、特等ときたものだからその衝撃も半端なものではない。
情けないけれど、チケットの入った封筒を受け取る手が小さく震えていた。
でも隣にいた銀ちゃんは、そんな私を馬鹿にしたりはしなかった。
…というのは、私以上に銀ちゃんの方が特賞が当たったことに動揺していたからだ。
抽選会場を二人して覚束ない足取りであとにする。
そして誰もいない公園でどちらともなく立ち止まった。
私は胸元で握りしめたままになっていた封筒をおそるおそる開け、中からそろりとチケットを取り出した。
何度瞬きをしても私の手の中にあるものは大江戸遊園地のチケット二枚で。
夢でも幻でもないんだと。
いい加減はっきりと口にしても良いだろうか。
「特賞とか初めて当てた…しかも、たった一回で」
「特賞とか絶対ェ入ってないと思ってたわ…」
「私も…」
二人してまじまじとチケットを見つめた後、私はそそくさとそのチケットを封筒に戻し、なくしたり落としたりしてしまわないように帯の中へしまい込んだ。