音色を描いて
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「シンくん、遊園地好きですか?良かったらどうぞ」
ものすごく遊園地が好きというわけではないし、チケットをもらった今でさえ行くことを若干ためらっていたくらいだ。
それなら本当に遊園地の好きな人に行ってもらって、楽しんでもらった方がいいに決まっている。
その方が美奈子さんもきっと喜んでくれるはずだ。
「ありがとう!じゃあ明後日はどうかな?」
「?」
「ことりちゃんも、一緒に行くんだよ」
確かに良かったらどうぞ、とは言った。
その方がいいと思ったから。
でも、私は一言も一緒に、なんて言っていない。
戸惑いを隠せない私に、シンくんはにこにこしたままで言葉を紡いだ。
「ことりちゃんは遊園地のチケットをもらった。そしてそのチケットを今僕に二枚ともくれた」
「はい、二枚です」
「二枚受け取った僕は、ことりちゃんを誘った。ことりちゃんと一緒に行きたくて」
「私でいいんですか?」
「ことりちゃんが、いいんだよ」
笑顔のまま、でもシンくんは力強くそう言った。
シンくんの笑みには時々、否定を許さない何かがあると思う。
首を縦に振ること以外、許さないような。
でもそれは決して圧力のようなものではなくて。
例えばそう、まるで魔法にかけられてしまったような、そんな感じだ。
「明後日、大丈夫?」
もう一度確かめるようにシンくんは私に問う。
そして私は小さく一度だけ小さく頷いた。
《チケット二枚》
断られたらどうしようかと思った
少しもそんなことなんて
考えていなさそうなのに
少しだけ弱々しい笑みに
なんだか少し親近感を覚えた
《終》
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